第4回世界合唱シンポジウムinシドニー紀行

林瑞絵


INDEX:

■8/6(火) - 序

 今日は本体が出発する日。私は出社し、仕事の後片付けをしていた。(;_;)
 午前9時過ぎ、もう集合時間だなぁと思い、数人の携帯に電話してみるが、
いづれも「ただいま電波の届かないところにいるか、電源を切っています」と
言われる。成田は圏外なのかにゃ?(それじゃビジネスマンは大変だよね…)
やっぱり海外旅行に行くのに携帯持っていく人はいないか。

 課長がもう夏休みに入っているので、午後は休暇を取り帰って荷造りをする予定。
ひたすら不幸の電話が来ないように祈る。

 無事昼に会社を脱出し、駅前の東京三菱銀行でオーストラリアドルのTCを買う。
$100が5枚のパックしかなく、ちょっと不満。現金は向こうについてから空港で
両替するのが一番得なので、換えていかない。

 家に帰り、夕べのうちに揃えて置いた荷物を詰め始める。バタバタしていると
電話が鳴る。なんと課長からで、某ユーザでトラブってるとのこと。こんなことも
あろうかと先週若い者を一緒に連れて行っておいたので、そっちに振ってしまう。

 夕方、かばんを二つ抱えて家を出、実家へ向かう。実家のトランクを借りるので
行ってから詰め直すのである。しかも今夜、バンコクへ行っていた妹が帰って来て
そのトランクをすぐ使うという慌ただしさ。

 実家に帰ると母の着付け特訓が待っていた。
 冷房で部屋をガンガンに冷やしても汗だくになりながら、布と紐と格闘すること
数十分。本当に一人で着られるようになったのかは甚だ疑問だ。

 妹が帰宅、荷物を詰め替えてみたらトランクはパンパン、これではお土産を買って
来られない?

 夜寝る前にPC-VANにMSGをアップ。千葉では使えたモバちゃん、成田とシドニー
ではどうかな?
                           本編につづく

第4回世界合唱音楽シンポジウムinシドニー紀行(本編)

■8/7(水)

 朝9時成田空港第二ターミナル集合。近畿日本ツーリストの係員がいるので
チェックインをし、全員揃うまでしばし自由時間。この間を利用して最終MSGを
PC-VANにアップ。
 本日(一日遅れ)出発組は4人。11時発カンタス・オーストラリア航空22便で一路
シドニーへ向けて出発!
 機内は夏休みとあって子供が多く、後方の席には団体もいる。私の席のすぐ後ろ
にも幼児がいて、大声は出さなかったけど背もたれをバンバン蹴っ飛ばすので、
眠れなくて困った。(←嘘) それに空調のせいですごく乾燥しているので、喉が
痛くなってしまった。前途多難。

 約9時間後、シドニー・キングスフォード・スミス空港に着陸。日本との時差は
一時間。空港から、ホテルまで直接行ってくれるワゴン(白タクですね)で市内へ向か
う。一人A$6。
 運転手さんは、助手席に日本人女性2人を乗せてご機嫌らしく、いろいろ観光案内
などしてくれるが、ボソボソ喋るのでよく聞こえない。夜景に浮かび上がるオペラ
ハウスが見えたときには感動した。

 シドニー・ルネッサンス・ホテルに着くと、今夜のオープニング・コンサートから
帰ってきたメンバーとロビーで会う。この日は結構冷え込み、オペラハウスから
ホテルまでは徒歩10分くらいだが、みんな寒がっていた。

 ちょっと呑んでから寝たい気分…と思ったら、中華料理屋に行くというので合流
した。チャイナタウンまでタクシーに乗る。運転手込み5人乗りの車に「Five people
 OK?」と無理矢理乗り込み、一人は頭を下げていてくれと言われるが、パトカーと
すれ違い運転手はびびって、料金はいいからと降ろされてしまう。仕方なく2人と3人
に分かれて別のタクシーで行く(初めからそうしろって)。

 着いたのは海鮮中華の店 GOLDEN CENTURY。水槽がいくつも並び、伊勢海老・鮑・蟹
がわんさか。「蟹が美味いんだ」と昨日来たメンバにすすめられて食べたチリソース
炒めは確かに美味しかった。(ちょっと手がギトギトになるのが難点) そのソースを
ご飯にかけて食べるのがまた美味しい。(パラパラタイプのご飯)
 その他強烈に匂う烏賊のニンニク炒めなどすべて美味しく、ことごとく奪うように
ご飯に料理のソースをかけて食べる食べる。機内食で夕飯を食べていたので、そんなに
お腹空いてない〜なんて言ってたのは誰?

 先のメンバが「鮑のしゃぶしゃぶが食べたい」と言い出し、メニューを見ると結構
高い。一つだけ頼んでみんなでつつこうということになるが、店員に少ないぞと言われ
「いいから!」と押し切る。日本製のカセットコンロが運ばれ、小ぶりの鍋が火に
かけられて、鮑さまの登場。それでも一人2〜3位切れは行き渡って、満足満足。さっと
湯がいてたれにつけていただくと何とも言えぬおいしさ。それに、鍋のスープがまた
美味しい。

 ビール(青島ビール)もしこたま呑み、すっかり満腹になってもう午前一時過ぎ。
明日からは練習もあるので、ホテルに帰ってもう寝なければ。
 ホテルの三階にOMP専用メッセージボードを設置させてもらったので、今後の
連絡事項はすべてそれに書かれることになる。寝る前にチェック。明日はちょっと
遠くで練習なのでバスで移動するため、8時半ロビー集合…
(しかしこの後ホテルの部屋で午前4時まで呑んでた奴もいたそうである)

                               つづく

P.S.なかなか音楽の話にならないなぁ。

■8/8(木)

 朝ギリギリに目を覚まし、皆がバスに乗っている間に近所のマクドナルドまで走り
朝食を調達。練習場に向かいながら食べたが、後で気がついたらバスの中は飲食禁止
であった。

 練習場所はシドニー市街図には載っていない郊外、グリーブという地区にある修道
院。22年前まで日本にいたというシスターのご好意で借りたらしい。人のいい老婦人
だが、日本語がものすごく怪しい。日本語と英語がごちゃ混ぜで、境目が限りなく曖昧
である。
 どうでもいいことだがここの建物のドアはなぜかノブが上の方に付いている。日本
では普通、まんなかより下の方に付いてますよね?逆なんですよそれが。背の低い人
には回しにくそう。

 現地での練習初日ということだが、みな日本から引きずってきた疲れなどで調子が
悪く、音程も下がりまくりで、栗山先生の機嫌は急降下。いきなり「おまえらは何を
しに来たんだ!遊びと買い物か!」と怒りが炸裂。私自身も飛行機でやられた喉が
治っていないので、何も言い返せない。
 今回は自分たちの演奏会の他に、皆川達夫先生・三善晃先生のワークショップに
出演してモデル演奏もするので、こなさなければならない曲が目白押し、自転車操業
状態なのに、ちっとも練習が進まない。本来ならばタピオラ合唱団(フィンランド)の
演奏会を聴くために午前中までの予定が、「それどころじゃないだろう」の一言で
午後2時まで延長になってしまった。あ〜聴きたかったのにぃ。でも仕方ない。
遊び気分でやってるわけではないけれど、やはり環境の違いで浮き足立っていた部分
はあるかもしれない。楽譜の細かい注意点が日本を出たら抜けてしまっていたりとか。
 救いは修道院で出してくださる紅茶とお茶菓子。手作りのパイがとても美味しかっ
た。

 練習後ホテルに戻り、夕方のコンサートまで時間があるので食事に出る。
 ホテルから歩いて数分のところにロックスというショッピング地区があり、食べ物
屋もありそうなのでぶらぶら出かけると、若い娘の集団(OMPのソプラノでは20代
なら若い)と一緒になる。一本裏通りに入ったところにあるカフェのような店で、
ローストビーフサンドイッチと人参ジュースの遅い昼御飯。
 表に出ていた黒板のランチセットが美味しそうだとひかれて入ったのだが、サンド
イッチはA$4で程良い大きさ(普通の6枚切り食パンくらいのに挟まっている)、人参
ジュースはその場で生の人参をジューサーにかけてくれてA$2.5。美味しかった。
 他の娘たちが頼んだのも、丼くらいのカップに入った野菜スープとパンとか、日本
の3倍くらいの大きさの(カットしてある)ケーキとか、なかなかでした。店のおじさん
も愛想が良かったし。

 食事を済ませ、ついでにウィンドウショッピングなどしていると、中の二人が
地元の日本人向けラジオ局に街頭インタビューされた、と呼びに来た。
 生放送中にイントロ当てクイズに参加するという形だったのだが、当然ついでに
シンポジウムの演奏会のことも宣伝させてもらった。効果のほどは定かではないが…
 ちなみにクイズの方は、ミスチルの曲だったのだが誰もわからず「やっぱりクラシッ
クをやってる人はポピュラーなんか知らないんだな」と思われたのではないかと不安
である。リクエストをどうぞと言われたのだが、皆出てくる曲が古すぎて放送局にCDが
ないものばかりというていたらくであった。

 5時からデンマーク国営放送合唱団の演奏会を聴きに行く。が、時間ぎりぎりに 行ったらもう満員で入れないという。会場のセントジェイムズ教会は600人ほどの キャパシティだったのだが、前評判の高い同合唱団の演奏会に皆殺到した模様。  入り口で押し問答しているうちに演奏が始まってしまい、一曲目が終わって拍手の 間にチケットを持っている人のみ入れてくれた。私たちは「一日有効券」という、 その日のワークショップやミニコンサート共通の券だったのだが、この演奏会専用の チケットを持っている人が優先されたので、結局入ることは出来なかった。係員に 「待っていても駄目だから帰れ」と(英語で)言われてすごすご引き返したが、運の悪い ことに、一度席を確保してトイレに出たら入れなかったという奴もいたらしい。  聴いた人によるととても美しかったとのこと。委嘱初演曲もあったようだが、高音部 になるとソプラノがときどき破綻するとか。一緒だな。  暇になってしまったので街をうろうろし、HMVがあったので入ったがCLASSICの売場 はそれほど広くなかった。いわんや合唱のコーナーも。
 夜はオペラハウスでのイブニングコンサート。  オペラハウスのコンサートホールは、サントリーホールと同じ客席に囲まれたステー ジで、上空にはやはり音響のためのアクリル製?の輪がいくつも吊ってある。蛍光管を 大きくしたような透明のもので、私たちは「天使の輪」と勝手に呼んでいた。 ★TE WAKA HUIA (AOTEAROA/NEW ZEALAND)   Director:Ngapo Wehi Powhiri(Trad.) I Te Timatanga(Wehi whanau)  会場が暗くなるやいきなり、民族衣装の男性が数名登場。上半身は裸、腰蓑のもう 少しきれいな(何だそれ)衣装をつけ、歌う人が両脇、ステージ中心に槍のようなもの を持った踊り手が一人、掛け声を上げながらゆっくり目のステップを踏む。すごい ハイテンションである。やがて女性も登場し、リズミカルな歌になっていく。女性陣 は赤と白の球(材質不明)を紐でつないだものを持ち、それを巧みに操りながら踊る。 肌の色はやや黒く、髪は黒、エキゾチックな顔立ち。美男美女の多いこと。男性の 動きはあくまで力強く、女性はあくまでも優雅。  民族の踊りが続く中、後方に NEW ZEALAND NATIONAL YOUTH CHIOR とギタリスト2人 が入場し、合同で歌う。コンサートホールが鳴る。民族音楽と西洋音楽の融合。とても 楽しめるステージであった。 ★NEW ZEALAND NATIONAL YOUTH CHIOR   Conductor:Karen Grylls The Moon is Silently Singing(David Hamilton) Childhood(Jenny McLoed) Waiata(Trad.Maori)  女声の鮮やかなグリーンのドレスが印象的。金髪と白い肌には似合いますねぇ。 声も豊かで美しかった。 ★ELECTRA WOMEN'S CHOIR(CANADA) Co-Conductors:Diane Loomer and Morna Edmundson O Vivens Fons(Hildegard von Bingen) Flos Regalis(Anonymous) Snowforms(R.Murray Schafer) Ave Maria(David MacIntyre)  これまた印象的なステージ衣装。黒と金というだけの共通点で、めいめいが自分の 好きなデザインの服(スカートあり、パンツあり)を着ている。ライトが反射して眩し いほど。ハーモニーも素晴らしく、特に最後の曲がかっこよかった。 ★UNIVERSITY OF THE PHILIPPINES MADRIGAL SINGERS Director:Andrea O Veneracion Prayer of St Francis(Allan Pote arr. Robert Delgado) Ave Verum(Charles Gounod) Les chants des oiseaux(Cle'ment Janequin) Gabaq-an -The Curse- (Ruben Federizon)  休憩時間中にステージに椅子が並べられ、座って歌うのかな?と思ったらカラフル な民族衣装の合唱団が登場。半円というよりほとんど閉じた円に近い形に内側を向い て座り、やや前傾姿勢で(お互いの声をよく聴いてるって感じ)歌うのである。指揮者 も端に座り、ときどき入りの合図だけして一緒に歌っているようにも見える。  最初の曲は、歌いながら手を一緒に動かしているので初めは何かと思ったが、どう やら手話のよう。あくまで sotto voce な、祈りが伝わってくるような演奏だった。 全曲そんな感じで弱音&ディミニエンドが美しかった。(楽しいのかなぁ??とも思っ たりして) ただ最後の曲は呪いの歌というだけあって、女声が突然高音の奇声を 発したりして面白かった。 ★BRIGHAM YOUNG UNIVERSITY SINGERS(USA) Conductor:Ronald Staheli 〜Sing a new song:New works by living United States composers〜 Everyone Sang(Dominick Argento) I Have Had Singing(Stephen Sametz) Io son la primavera(William Hawley) O've lass'il bel vizo(Morten Lauridsen) Cloudburst(Eric Whitacre) How can I keep from singing(Ronald Staheli) Psalm XCVI,from Three Psalms(Merrill Bradshaw)  やけに金をかけたカラーのパンフレットを配っていた団体。非常に若々しい演奏で した。もちろんうまかった。  私は前回(第3回、バンクーバーでのシンポジウム)に出ているので、世界各国の 素晴らしい合唱団をある程度見聞きしてはいたのだが、初めてのメンバーはやはり 新鮮な感動があるようです。おおいに良いカルチャーショックを受けてほしいもの である。…と翌日以降、「おまえらは何も知らない。世界にはものすごくうまい団体 が沢山あるだろう。聴いただろう」と栗山先生に苛められることになるのであった。
 コンサートから戻り、夕食を食べそこねていたのでお腹がぺこぺこ、また誰か出かけ ないかなーとホテルのロビーでうろうろしていたら、日本料理屋に行く人たちがいる。 まだ全然日本食が恋しくならないけれど、一人で他に行くわけにもいかないので合流 する。  ハーバーブリッジを渡ったノースシドニーにある「祇園」という寿司&居酒屋。 (日本料理屋は漢字二文字の名前が多いようだ。「金閣」というのもあった)  着いたのは午後11時半くらいで、12時をまわると寿司が半額になるサービスがあり、 それまでねばろうとしたら「もういいですよ」と言われて注文する。…バンクーバーの 方が美味しかったかな。ラーメンはいまいち。煮込みうどんは美味しかった。  明日は皆川達夫先生のワークショップが9:15からで、朝8時から発声開始。早いよ。                               つづく

■8/9(金)

 出演初日。ホテルの会議室で朝8時より発声練習。その後徒歩で、皆川達夫先生の ワークショップ会場である WENTWORTH HOTEL へ。

皆川達夫ワークショップ「日本の西洋音楽」

★Reception and Transformation of Western Music in Japan
 Led by Tatsuo Minagawa

 日本の西洋音楽史ということで、年代を追って作曲家と曲の紹介。
 私たちの演奏したのは以下の通り。(いづれも部分演奏)
  イギリス民謡/蛍の光(日本語歌詞、斉唱)
  滝廉太郎/荒城の月(林光編曲)
  信時 潔/「沙羅」より 鴉
  清水 脩/「月光とピエロ」より 秋のピエロ(男声)
  高田三郎/「イザヤの預言」より III
  間宮芳生/「合唱のためのコンポジションI」より 木遣り歌(男声)
  林 光 /「原爆小景」より 水ヲ下サイ
  武満 徹/「うた」より さくら,翼

 大変狭い部屋だったのでうるさかったと思いますが、数少ない(注)外国人聴講者
に「荒城の月」が受けて、アンコールと言われてしまいました。

 注)皆川先生ははっきりした発音で英語で講演されたのですが、シンポジウムの
  日本人参加者はほとんど来ていたので、比率としては「日本語でやっても良かっ
  たかも」というくらいでした(笑)

マーチンプレイス・アウトドアコンサート

 1時間のワークショップの後、野外コンサートのため Martin Place へ。
 オフィス街の中心部に歩行者専用の広い通路があり、その中にイベント広場といった
感じで楕円形にくり抜いた形でステージと客席が作られている。一応マイクは数本立て
られている。
 サウンドチェックということで何か歌って…ということになったが、栗山氏の指示で
「ドレミレドー」を半音ずつ上げていくただの発声練習になってしまった。これでは
マイクに入るパートのバランスがチェックできないのでは???
 案の定、演奏を聴いていた人に後で聞いたら酷いものであったらしい。単に下手な
だけという話もあるが…
 サウンドチェックの間にも人が集まってきた。ちょうどお昼時なので、テイクアウト
の昼食中の人も。
 OMPの演奏に先立って、男声4人のアンサンブル「Sing's Kingers」(名前がふざ
けている)の「Dragon Ball」で幕開け。マイクにうまく入っていなくて、受けたのは
もっぱら内輪のようだった。

★OUTDOOR Concert
  三善晃/私が歌う理由
 武満徹/小さな空
 信長貴富編/Shearer's Song , The Road to Gundagai (オーストラリア民謡)
       ふるさと(岡野貞一曲・高野辰之詩)
 三善晃編/阿波踊り(徳島県民謡)

 それぞれ曲名を英訳して紙に書き、聴衆に見せながら歌った。
 『Tokyo Choir OMP』という看板も用意してもらえるわけではないので自前で
準備し、譜面台に置いて掲示しておいたら、演奏中に風でバンバン倒れて困った。
 オーストラリア民謡はやっぱり一番受けたようだ。子供連れのおかあさんも、子供
を踊らせながら聴いてくれた。
 阿波踊りは振り付きでやったので(立川でのジョイントに来て下さった方にはわか
りますね)、それなりに受けた。
 『ふるさと』を歌ったときは、シンポジウムに関係のなさそうな通りがかりの日本
人も、足を止めて聴いていった。

 この日の野外コンサートはOMPの他にもう一団体、モンゴルの合唱団もこの後に
出演したのだが、鮮やかなそろいの民族衣装で、歌も遥かに上手かったようである。

 コンサートに出演する日はシンポジウム事務局から食事が支給されるのだが、この 日の昼食はマクドナルドのバリューセット引換券。支給は40人分なので「若い、もしく は貧乏な順」という基準で配られる。私ももらえたぞ、へへへ。  各自食事をして再集合し、バスで練習場へ。ということで解散。  栗山先生を含む5人で近くのイタリアンレストランへ行く。初めはもっと大人数だっ たのだが、イタリアンと聞いたとたんに時間がかかるからやめようと抜けていったの である。私たちは遠くまで行くのが嫌だったので、飲み物をすすめるウェイターにも 「We don't have much time」と強調して急いで食べた。  パスタの盛り合わせ、リゾット、シーザーサラダで一人A$10ほど。安い割にはという 程度で、特に美味しいということはなかった。しかも栗山先生はおフランス帰りで舌が 肥えてしまっているので、ちょっと不満そうだった。  午後は昨日と同じ修道院で練習。相変わらず本調子でない私たちに、先生の雷が落ち る。練習への集中度が足りないのか、楽譜の細かい指示が抜けがちで、その度に先生の チェックが鋭く突き刺さる。先生の神経も高ぶってきているようだ。 (今思えば先生の機嫌が悪かったのは私たちの歌が下手だったからだけではなく、 食べ物が良くなかったせいもちょっとだけあるかも…)  練習後ホテルまで帰り、イブニングコンサートまで自由行動。  夕飯も支給されるのでコンサートの前にタダメシにありつくためいそいそと集まる。  ホテルの近くにある地下鉄の駅(でも地上にある)「サーキュラー・キー」のガード下 にある、イタリアンカフェテリア「ロッシーニ」。A$12未満まで使えるというチケット をもらい、ショーケースに並ぶ大皿料理から好きなものを選ぶ。それにでっかいパンと ソフトドリンクがついてくる。  (自前でビールを頼んでいる人もいたが、演奏会で寝ると困るのでやめておいた)  私は Chicken Crepe とトマトジュースを選んだが、クレープに鳥肉のほぐしたのを 巻いてあるのが二つに、ホワイトソースがかかっていて、まあまあの味だった。  他のメンバーといろいろ交換して食べたが、チーズソースのパスタや、ピーマンの ご飯詰め、茄子のご飯挟み、アスパラの卵ソース、などなどいろいろあったが、結構 味に当たり外れがあった。つけ合わせのポテトとブロッコリーが豪快な量だった。

イブニング・コンサート"ベルレク"

 イブニング・コンサートはベルリオーズのレクイエム。
 合唱団がすごい人数である。サントリーホールで言うところのP席だけでなく、
ステージ両脇の客席まで使って、一体何人いたんだろう。オケもステージから落ちん
ばかり。
 演奏中ついうとうとすると、客席斜め後方にいる金管に起こされること数回。
 この日のプログラムはシンポジウムのそれとは別で、私は買っていないので、詳しい
情報は川嶋さんにおまかせします。

 ホテルに帰って間もなく、本日到着組と再会。からから!さん(唐澤)も無事この日に 着いた。  今日は夕飯がヘビーだったのでお腹は空いておらず、出かけるのはやめて部屋で呑む ことにした。  本日到着組のハプニング話などを聞きながら、午前2時までビールとワイン。  両隣が関係者以外の部屋だというのに、つい声が大きくなる高橋洋子(ソプラノ)。 聞けば既に機内でウォッカをしこたま呑み、できあがっていたようである。(例の、人 の話を聞いていない英文科出身の奴である)                               つづく

林瑞絵 mizue-h@mtg.biglobe.ne.jp