シドニー同行記 唐澤清彦
INDEX:
- 9(金) 成田空港(添乗員が来ない事件) 〜 シドニー空港 〜 シドニー・ルネッサンス・ホテル
- 10(土) シドニー市内観光と、バスカー観察記
- 11(日) シドニー市内観光その2 〜 SOHでちょっとコンサート鑑賞
- 12(月) シドニー湾周辺記念撮影早回り 〜
■はじめに
合唱団OMPは、1996.8.7-14の期間にシドニーで開催された
「第4回世界合唱シンポジウム」に招聘されました。
私は、このシンポジウムに参加するOMPのツアーに、インターネット広報担
当者として参加しました。
8/9(金) 晴れ
■成田空港(添乗員が来ない事件) 〜 シドニー空港 〜 シドニー・ルネッサンス・ホテル
「世界合唱シンポジウム・シドニーツアー」のOMP本体は、6日(火)に日本
を発っている。
全日程11日(プラス・オプショナルツアーの人も)という長丁場のため、総勢
90数名の中には遅れて参加の団員もかなりいるわけだが、Kツーリストの担当氏
(団員)は「こんなの団体客じゃない」とぼやいたとか。しかしともかく、三日遅
れで、ちょっと割高の団体料金(?)で我々後発組は参加した。
この日の日本も暑かった。ちょっと寝坊した私は、汗を流しながら一路成田へ。
…とはいっても、私の家から成田空港は総武線快速「エアポート成田」一本。
1時間半とかからない。
[ 9:00]
集合場所の空港第二ビルオーロラビジョン前には、すでに同行の団員が5,6人
集まっている。
さっそく、「Mさんが約束の成田エクスプレスに乗ってこなかったよ〜」などと
混乱している人たち。まあ、ともかくカウンターで手続きをしましょうと、オー
ロラビジョンの表示に従ってカウンターに進むとそこには、「シルクロードの旅」
「???…」
一同首をひねりつつも、何度オーロラビジョンを見ても、「世界合唱シンポジ
ウム・シドニーツアー」の集合場所は「シルクロードの旅」と同じである。
まあ、他に行くところもないとたむろしていると、「シルクロードの旅」の代
理店の人とおぼしき二人が「カウンター番号がだぶっている…」と話しながら我
々の横を過ぎていく。
「そういえば、我々のツアーの添乗員はどうした…?」
すでに、集合時間を15分は過ぎた。
遅刻組も全員集合済み。添乗員もまだ寝ているんじゃないかなんてジョークを
飛ばしていたのも少しの間だけ。航空券も書類もKツーリストが持っている。
どうする?…「おなかすいた」と騒ぐ者あり(^^;
このままでは飛行機に乗れないと、Sさんが空港インフォメーションに「迷子
のお呼び出し」をしてもらいに行くが「社名を出すと宣伝になるので添乗員の呼
び出しの放送はできない決まり」だとか…。(なんだそれは…)
携帯でKツリに直電も試みる。
[ 9:45]
とつぜん、場内放送が入る。
「世界合唱シンポジウム・シドニーツアーのお客様は**カウンターに集合して
下さい」
遠くの方から、なんか言い訳しながら添乗員氏がやってくる。なぜ今頃になっ
て登場したのかは結局わからずじまいであったが、お姉さま方数名の怒りは爆発
してらした。
結局荷物を預け航空券を受け取ったのは最初の集合時間から遅れること約1時
間後の10:00。
さっそく免税品店で引っかかるお嬢さん方とともにオーストラリアドルの両替
などを済ますと、もう、ほとんど最終搭乗手続きの時間が迫っている。
「お腹が空いた〜」
「免税品の買い物がしたかったぞ〜」
「旅行会社のバカ〜」
などと、わめき、罵りながら我々は機上の人となった。
----*----
[11:00]
QANTAS航空QF22便、シドニー行きの機長は腕が立つ。
ほとんど加速度を感じさせない離陸で、我々はふんわり飛び立った。
天気は晴れ。私は運良く窓際の席で昼の飛行を楽しんだ。とはいえ、オースト
ラリア上空までは、ほとんど海海海である。しかし、せっかく窓際になったのに
寝ていては損と飽きずに空を眺めていた。
めぼしい景色は、時折見える珊瑚礁の島影と、雲の中に輝く丸い虹とその中に
落ちる自分の飛行機の影。
それと、赤道を過ぎたあたりで、眼下を同じQANTASのジャンボがすれ違ってい
ったこと。ほんの数秒しか見えなかっただけに、何もない太平洋上の航路ですれ
違うところを見られるなんて、ちょっと感慨。
昼夜の二度の食事を隣り合わせになったソプラノのSさんとワインでわいわい
やっているとあっと言う間に日は暮れて、シドニー上空に。
飛行機が高度を下げると窓からはハーバーブリッジやオペラハウスが見える。
まるで観光遊覧飛行のよう。(国内線に乗って羽田着陸時にディズニーランドが
見えるよりずっと感動した(笑))
ナイスな機長は、またまたナイスなソフトランディング(笑)
定刻 20:50 に我々はシドニー空港に着陸した。
[21:00]
入国手続き〜ホテルへ
シドニー空港から「乗り合いタクシー(大きなワゴン車)」でホテルに向かう。
子供が2名いたので、運転手が"How old ... children ?"と年齢を聞く。
すかさずYさん(英文科出身)が "two children!" と答える。
(それで子供二人は無料になったのだが、実際は4,5歳)
タクシーを降りてからYさんは"How"しか聴いてない、と笑われるが、それで
無料にしてくれるタクシーもアバウトである。
ちなみに、乗り合いタクシーは大人 A$ 6 -(市内までは10km程) 安いと思う。
しかも運転手氏は、市内の観光スポットを解説してくれて、わざわざオペラ
ハウスの見える道を大回りして「写真を撮れ」とまで(笑) それに「止まってく
れなきゃ撮れないよ!」と言って止めてしまう我々もなかなか、ただの観光客
である。
[22:25]
シドニー・ルネッサンス・ホテル着。
玄関でちょうどこの日のシドニー・オペラハウス(SOH)の演奏会(ベルレク)
を聞き終えた団員と合流。再会を祝ってロビーで写真(^^)
ちなみに、SOHからホテルは徒歩5分少々。我々には便利至極のロケーショ
ンだった。
荷物をほどいて寝る。
明日(10(土))は、OMPの団員は終日練習。私は一日観光。音楽の話しはまだ
まだ出てきません(^^;
■補足
・成田での携帯電話>林さん
> 午前9時過ぎ、もう集合時間だなぁと思い、数人の携帯に電話してみるが、
>いづれも「ただいま電波の届かないところにいるか、電源を切っています」と
>言われる。成田は圏外なのかにゃ?(それじゃビジネスマンは大変だよね…)
成田空港周辺は、大変安定して通話できました。
>やっぱり海外旅行に行くのに携帯持っていく人はいないか。
そんなところでしょう。しかし、我々の出発日(9日)には、Sさんと私が携帯
電話を持っていて、遅刻のKツーリストに電話したり、突然の場内放送で集合場
所の変更をしたりするのに大変重宝しました(^^;
・両替>林さん
>現金は向こうについてから空港で両替するのが一番得なので、換えていかない。
そ、そうだったのか…。成田で両替してしまいました(^^;
ちなみに、シドニーはさすがに観光都市で、市内の至る所に両替所があり、
「市内でもっともレートが良い」という看板を掲げる両替所も我々のホテルの
そばにありました。
また、各種クレジット・カードで現金を引き出す機械も数多くあり、Aドル
不足で困ることはまず無いような環境でした。
・空港のワゴン車>林さん
>空港から、ホテルまで直接行ってくれるワゴン(白タクですね)で市内へ向かう。
>一人A$6。
私たちと同じ移動手段ですね。料金も同じだし、観光ガイドにも載っているの
で白タクってことはないと思いますが…車は確かに白かったが(違う(^^;)
成田でタクシーなんか拾ったらいくら掛かることか…。
・アワビ>林さん
> 先のメンバが「鮑のしゃぶしゃぶが食べたい」と言い出し、メニューを…
食べてない…(ぐっすん(^^;;)
青島ビールも飲めなかったな〜(ぐすぐす(^^;)
なぜ、同じツアーに出かけて美味しいものに当たらないのだ〜!
8/10(土) 快晴
■シドニー市内観光と、バスカー観察記
(サーキュラー・キー〜水族館〜シドニータワー〜ハイドパーク〜ST.メリーズ・カテドラル)
10(土)は、OMPのメンバーは朝から晩まで「宇宙について」の練習。
団員の皆は 8:30に玄関前集合でバスに乗り込み練習場へと向かった。
雲ひとつ無い上天気。
私はマクドナルドで朝食を買い、部屋に戻って今日の予定を立てる。
なにしろ何も考えてないで来ているので予定というものがない(笑) 林さん
に借りたガイドブック片手に考えた…
[10:30]
「そうだ、水族館に行こう!」何しろ私は、水族館大好き人間(^^)
交通機関は地下鉄。
ホテルから地下鉄サーキュラー・キー駅は徒歩2分。ここはシドニーの海上交
通の要所でもあり、地下鉄駅(と言っても地上3Fのところにある)の高架をくぐる
とフェリー埠頭があり、沢山の出店、大道芸人が集まっている。
また手前にはバスターミナル。周辺にはおみやげ物屋。ぶらぶらするだけで楽
しく時間がたつエリア。とりあえず手近な土産物屋で小さな手帳を買い、旅の記
録を取ることにする。
シドニー湾を取り囲むシドニー・オペラハウス(SOH)、サーキュラー・キーの
埠頭、ロックス地区の一帯には辻音楽士、大道芸人が大勢いる。
最初に目に付いたのはミュージカル・ソーを演奏する老人。傍らには「私の
名前はウォルター。ノコギリと草笛を演奏して70年」なんて看板(もちろん英語)
が掲げて有り、曲はもちろん「ワルツィング・マチルダ」などなど。
「あぁ、オーストラリアに来たなぁ…」という気分が盛り上がる。70年のキャリ
アは伊達でなく、なかなか楽しませる。
ちょっと歩くと今度は東洋人が「胡弓」を弾いている。これはあんまり上手く
ない。最初のうちはいつまでもチューニングをしているなぁと思っていたが、
それが出し物らしい(^^;
路上の出店では"SYDNEY 2000"と書いたオリンピックグッズの店が目立った。
土産物屋にはだいたいどこにも、オリンピックグッズがあふれ、
「金9、銀9、銅23」と書いたチョークボードが置かれていたりする。
[11:00]
サーキュラー・キー駅周辺の風物を一通り見た後、いよいよ地下鉄の切符を買
う。券売機は行き先と切符の種類(片道、往復など)を選ぶと金額が表示されるも
の。ちなみに、片道 A$1.6 の切符が、往復 A$1.8 とても安いと思う。
さて、自動改札に切符を通すと…開かない(汗)
切符を取らないとゲートが開かないタイプで、思わず引っかかってしまった。
こういう些細なことで異国を感じてしまうから楽しい(?)
改札をくぐると片側のホームは薄暗い。
地下鉄は(半)環状線に成っているのだが、どうやらこの時間は一方通行になっ
ているらしい。(システムがわからず一本見送る)
車両はぜ〜んぶ二階建て。広軌。
[11:20]
タウン・ホール駅着。駅名表示が見にくく、停車駅を数えて下りる(^^;
この駅の出口に、その名も「タウン・ホール」というホールがあり、この
合唱音楽シンポジウムの演奏会場の一つでもある。中央に時計台を持つ石造
りの建物。
ここからダーリング・ハーバーの水族館まで歩く。歩けば10分ほどの道のりだ
が、暇な観光客なので迷いに迷い歩く。
港の景色、モダンなモノレールの駅。
シドニーには、英国風の古式豊かな建物も多いが、SFチックなデザインの近代
建築も多い。このダーリング・ハーバー周辺は建国200年を記念して再開発が行
われた地区だそうで、特に近代建築の集中するエリア。
途中、金属の縦笛を吹くおじさんに出会う。
なんにもない、ただの街頭で演奏して生活できるのか??
[12:00]
シドニー水族館。(大人 A$ 14.9)
チケットを買うと、何故か水族館の案内とともにシドニー観光ガイド(英文)
(A$5と書いて有る)と隣の高島屋シドニー店(^^; の割引券が付いてくる(何だこれ
は)。しかも日本語。
もっとも、この後もどこの施設でも切符を買うときに、言語を訊かれて、各国
語の場内案内などをもらうのだが。そういうわけで、言葉の苦労は極小だった。
この水族館の目玉は三つの海底トンネル。いわゆる品川水族館の先輩である。
海底トンネル1. アザラシの餌付けを観察。泳ぐアザラシを水中から見る。
(ここは壁面と床がガラス張り)
海底トンネル2. シドニー近海の魚たち。ガラスのトンネル。
海底トンネル3. 鮫、エイ、小判鮫など。巨大なエイが頭上を通り過ぎる。
水族館好きの私は満足満足。
海底トンネルエリアを出ると、本館を海上から見るアングルになる。この水族
館は、港に打ち込まれた木杭に支えられて海に浮かんでいる…のだがその木杭が
海水に浸食されてどれも半分くらいの直径になってしまっている。
水族館というのはそうとう重い施設の筈なんだが…だいじょうぶか?(^^;;
水族館見学後、売店で最初のおみやげのTシャツを買う(A$ 14.95)
カンガルーがマルチプライズしている柄。
(後でみんなに「不気味」と呼ばれる(笑))
[13:45]
次の目標地点は「シドニータワー」
最寄り駅は、ダーリーング湾周辺を回る環状モノレールの隣の駅だが、一方
通行の逆回りで一番遠い。しかし観光だ!ということで、乗る。
モノレール、ダーリングパーク駅からシティーセンター駅へ。(A$ 2.5)
水族館、海洋博物館、エキシビジョン・センター、中国庭園など、綺麗な町並
みを見て回ることが出来る。
シティーセンター駅を降りると、すぐにシドニータワーの根本。南半球で一番
高い建物だという。304.8m
入り口近辺で、音大生風の若者の弦楽四重奏の辻音楽師。パッヘルベルのカノ
ンなど、ポピュラー・クラシックを演奏。結構聴かせる。
[14:30]
そろそろ昼食にしようかと思う。シドニータワーの一階のデパート内は、世界
各国のファーストフードの店がずらりと入っている。さすが移民の国という感じ。
私は林さんから参加合唱団用のマック無料食事券を一枚もらっていたので、
とりあえずマックで「このチケット使えますか?」と聞く。
店員はチケットの説明をずっと読む(あぁ、合唱シンポジウムってマイナーと
思う(^^;))…で、OK。やっと遅い昼食。
食事を終えていざ「シドニー・タワー」(A$ 9 ) … ガイドブックより値上が
りしている。しかし、お上りさんは登らないとね。ということで(笑)
さすがに素晴らしい眺望。しばし時を忘れる。
市内は、広々とした緑のエリアも多くのどかな感じ。重厚な石造りの建築と、
近代建築が混在する。工事中のブロックも多い。でも東京タワーからの眺めより
美しいかな。やはり、世界一の美港、シドニー湾の入り組んだ風景に浮かぶ船、
そんな景色が素晴らしい。
[16:00]
再び地上の人となりぶらぶら歩く。
ハイド・パーク。巨大な木が茂る公園。噴水もあるのだが工事中(残念)。
ぼーっと歩いていると、向こうから阿波踊りを歌いながら練り歩く小学生の
一団に遭遇(^^; 『多治見児童合唱団』の子供たちらしい。
彼らは田中信昭先生の公演に出演するために、シドニーに来ている。しかし、
阿波踊りで練り歩くのは異様なり(^^;;
(日本人に出会って嬉しくもあるのだが…)
[16:20]
セント・メリーズ・カテドラル。ハイドパークに隣接して立つ。
巨大な聖堂には自由に入れるのだが、入り口に日本語で「ここは神に祈りを捧
げるところです、礼拝中は妨げにならないように」との張り紙(^^;
南半球は今冬だから、4:20はそろそろ夕日がさしている。
砂岩を使った壮麗な石造りの外観。美しいステンドグラス。しばらく、何も考
えずにその空間に居る。
韓国系のバスツアーの団体さんがどやどや入ってきたのを潮に退散。
じゃんじゃん記念写真を撮るが、フラッシュを焚いてはこの綺麗な空間は写ら
ないなぁとお節介な感想を持つ。まあ、日本人の団体さんと変わらない賑やかさ
だな、と思い苦笑する。
ちなみにこの建物も合唱音楽シンポジウムの会場として使われるそうだ。
[17:00]
そろそろ帰路につく。
この辺からサーキュラー・キーに戻る通りには、病院や政府の建物が多い。
これらも多くは、赤い砂岩の石造り。この街には、この赤い砂岩で出来た建物
が実に多い。古い建物はもちろんのこと、比較的新しそうな建物もこの建築の物
があり、シドニー市のイメージとして焼き付く。
それから、至る所に銅像がある。
ハイドパークにあるキャプテン・クックの銅像ぐらいしか私が名前を知ってい
るものはなかったが、どこに行っても銅像、銅像。今日一日でどれくらいの銅像
を見たろうか?
(これも、ヨーロッパ風なのか?)
南へと歩く。
造幣局、移民局、病院などの有る通りを抜けていくと、こんどはイノシシの銅
像があり、観光客が群がって鼻をなでている。撫でては祈る。
なんだかよくわからないが、鼻をなでると何か良いことがあるらしい。磨かれ
て鼻だけが金色に光る。なんだか、日本のどこかのお地蔵様を思い出す光景。
ちなみに、このイノシシ、イタリアから贈られたものだという銘板があった。
ところで、このイノシシ君、鼻だけでなく男性のシンボルの部分もうっすらと
輝いていた。みんなが撫でていくんだね、きっと(苦笑)
さらに歩くと一層大きな石造りの建物。NSW州立図書館。
ギリシャ神殿のような石の柱の並ぶ正面玄関に、直径1m以上有る巨大な赤い
半球形のオブジェがつり上げられている。
左右に「RED NOSE DAY」の垂れ幕。「赤鼻の日」??
図書館と道をはさんだ反対側は、植物園。
植物園(入場無料)を少し行くと、コンセルバトワールの建物。これも赤い砂岩。
ここのホールでは、OMPが「宇宙について」を演奏することになっている。
[17:20]
植物園の中には日本では見られない鳥が多数生息している。
ボーっとしていると、近くの木から巨大な白いインコの群が飛び立ち私の頭の
高さをすり抜けて飛び去る。おもわず身をかわしてしまった。怖い怖い(^^;)
ここを過ぎるともう、出発地の港はすぐ。
サーキュラー・キー駅前の「秋葉原」という土産物屋をのぞいてホテルに戻る。
[18:10]
…
OMPの練習は18:00まで、のはず。
しばしホテルでくつろぐ。
ところでモバイルギアはといえば、ホテルについて早々林さんから、
GEIS-NETと、PC-VANのログイン画面まではたどりつけたが、パスワードを入力す
ると切断されると言う…。
「じゃあ明日見ましょう。」といったのだが、肝心のMGは林さんが練習に
持っていってしまったんだな、これが。
我々が宿泊したシドニールネッサンスホテルは一応当地の最高級ホテルである
が、私の部屋について言えば、セーフティボックスの鍵は無い。水道の蛇口は完
全に締まらない。目覚ましが壊れている。
…などなど、あれこれ壊れた物を放置する、オーストラリアらしい気質の物だ
った。
[18:30]
OMPの面々が練習から戻ってくる。
さあ、食事だ〜(^^)
林さんがお父さんから聞いてきた「ショーを見ながら食事が出来る店」につ
いてホテルのレセプションに聞く。ところが、今その店はなくなってしまったら
しい。
何かオーストラリアらしいものを食べたいということで、さらにレセプショニ
ストに聞くと、近所のステーキハウスを紹介された。
[19:30]
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ジョニー・ウォーカーズ・レストラン
JOHNNIE WALKER'S RESTAURANT
25 Bligh St., Sydney, NSW, Australia
Tel:(02)232-6099, Int*l: +61-2-232-6099
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エビのオードブル(5匹)
オーストラリア産、赤ワイン
ステーキ(ニューヨークカット500g)
パン(ガーリックトースト)
広さの割に客が少なく静か(笑)
エビはわりと新鮮で美味しい。
ステーキは、ミディアムレアで注文したが結構中まで焼けている。…というか、
ごつい網で焼いたようなのだが、表面の焦げ目がすごい。しっかり炭化している。
肉そのものはいわゆるオージービーフ。
マスタード、粒マスタード、ホースラディッシュが選べる。
…それにしても、さすがに炭化した肉は炭だった(苦笑)
これが、「オーストラリアは大味だ」というキャッチフレーズの始まりであっ
た。
ワインは軽くて飲みやすい味だった。毎日飲むのに適している。二人で一本、
あっという間。そもそもこの店はワインの作り酒屋を家業としていて、醸造所と
か倉が移転して跡地に出来たのだとか。
そんなこんなで、さすがに500gのステーキは食べ応えがあり、頑張って食べた(^^;
[21:20]
食後は夜のシドニー湾を散歩。
ライトアップされたオペラハウスの写真などを撮る。
この時間はまだコンサートをやっていたのだが、SOHは、ホールのドアのと
ころに係員がいてチケットを見るので、ホールの玄関は誰でも無料でくぐれる。
土産物売場で、源内さんそっくりのクラリネットを吹くコアラのイラストを見
かける。
[22:40]
ホテルに戻る。今日はおしまい。
明日も一日シドニー観光なんだけれど、最後にコンサートの鑑賞が待っている
ので楽しみ(^^)
8/11(日) 快晴
■シドニー観光その2、コンサート鑑賞
(王立植物園〜SOH〜ロックス〜ウォーターフロント・レストラン
〜SOH(イブニング・コンサート))
日曜は、Break out day といって、シンポジウムは夜のコンサート以外の行事
は無い。行事がないといっても、OMPの団員は翌日のコンサートのために午後
は練習が入っている…、予定だったのだが、11:00から追加で練習になる。
長旅の疲れや、環境の変化からどうもいつもの調子が出ず、毎日、指揮者栗山
先生の叱責が吹き荒れているという。
栗山先生本人も食事が咽に通らぬほど…という情報が、前夜のホテルのロビー
で耳に入ってきた。
冬のシドニーの乾燥した空気もコンディションに影響しているだろう。しかし、
「世界に日本の合唱を聴かせる」そういう意気込みが皆に重圧感を感じさせてい
る様子がうかがえる。
ある団員は、栗山氏の「苛烈な叱責…」という表現をしていた。
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しかし、団員ならぬ私、合唱団OMPインターネット広報担当(栗友会費納入済
み)唐澤には、団員のステージ外の苦労は
「頑張ってね」としか言いようもなく、今日も観光に出る(^^)
[10:00]
サーキュラー・キーにて朝食。
サーキュラー・キーの港には六つの埠頭があり、それぞれの根元に軽食の
売店がぎっしり入っている。フィッシュ&チップスから、各種のサンドイッチ屋、
ジェラート、サラダ屋さん。隣の地下鉄駅の高架下にもイタリアンのカフェテリ
アなど。
ひとしきり色々な店を見て悩んだあと、サラミ・サンドとアボカド・サラダ、
オレンジジュースを買い、港のベンチで食事をとる。約 A$10
サンドイッチは約15cmのフランスパンに、新鮮な野菜がドサッと入っていて美
味。(でもパンがとても硬い(^^;))
他に各種シーフード(エビ、ツナ、サーモン、カニ(風味?))のサンドイッチも
それぞれ「うそっ」というほど大量にはさみこまれて美味しそう。
サラダの中身も、セロリなんか1cm厚くらいに切ってあったりして、ザクザク
している。なにもかも日本人サイズとは違う。
ふと空を見上げると、セスナ機が空に"JESUS LOVE"と書いている。
風は穏やか。
[11:00]
団員は11:00からパート練習が待っているということで、会場のコンセルバト
ワールまで歩く。サーキュラー・キーから南に5分ほど歩いた、ベネロング岬の
奥の丘。
バス通りに出ると、道を行くバスのフロントグラスの真ん中に「赤い鼻」がつ
いている。またしても謎の"RED NOSE DAY"か?
そういえば、港のフェリーにも「赤い鼻」がついていたな…。
RED NOSE DAYって何だ!気になると眠れ無いぞ…
さて、コンセルバトワール前で「頑張れよ〜」と言って別れると、そのコンセ
ルバトワールは、王立植物園の中に立っているのであり、私はそのまま植物園見
学。
植物園入り口付近のベンチに腰掛け、メモ帳の整理をしたり、財布の小銭を数
えたり、しばし、ぼ〜っとして過ごす。
ひょろりと長い椰子の木がなんだか南国風である。
[12:00]
空には、先ほどのセスナが"M M M"と書いている。何のことだろう?
またしばらくすると、こんどは"SURICH"。
しかしまたよく見ると、つぎは"ZURICH"と書いている。繰り返し、繰り返し。
どうやら、綴り間違えたらしい(笑)
十分にぼーっとしたので、園内見学に出かける。
植物園とはいうが、南半球は冬。めぼしい物は何もなく花もない。基本的には
広々とした公園にちょっと変わった物が植わっているという感じ。しかし、やは
り見慣れた植物とはなんだか違う景色がある。
日光浴の人が多い。
基本的にこの植物園は無料なのだが、熱帯植物園の温室だけは有料。
シドニーに来て熱帯植物を見ることもないかと思いパス。しかし、起伏の
多い地形を利用した半地下のガラスのピミッド形の建築は綺麗。背景には市街地
の高層ビルとシドニータワーが抜けるような青空をバックに並んでいる。記念写
真を一枚。
[12:45]
園内の売店でサンドイッチと飲み物"Lift Lemon"を買い、ファーム湾を見渡す
木陰で昼食。周囲には日光浴のカップルなど。
それにしても、サンドイッチのフランスパンが硬い、味はいいのだが…。オー
ストラリア人は顎が強くて、入れ歯の人もいないに違いない。
カイワレ様の葉っぱが入っている。そういえば日本のO-157はどうしたろうか?
シドニーに来てからすっかり忘れて生ものをばくばく食べている。
さて、食事をするとゴミが出る。ゴミはくずかごへ。
…ということなのだが、園内には至る所にゴミ箱が設置されており、しかも、
リサイクル可能ゴミと不可のゴミとが別々のボックスになっている。また、市街
地には分別ボックスこそ少ないが、かなり短い間隔でゴミかごが設置されている。
そのおかげか、シドニーの町中、路上にはゴミが大変少ない。
「植え込みの影に空き缶」などという日本ではありふれた景色もここにはない。
羨ましいほど清潔感のある街だ。
…もっとも、そもそも缶ジュースの自動販売機というものが非常に少ない。基
本的に普通の路上で自動販売機を見かけることはなく、駅のホームとか、公園の
売店の脇とか、そういう場所のみ。
タバコと酒の自動販売機は一つも見かけなかった。
ただ、駅のホームにはどこにもスナック菓子の自動販売機があり、ホームや
車内ではバリバリものを食べながら歩く人の姿をどこでも見かけた。これは日本
ではあまり見かけない光景だろう。
また、自動販売機が少ないかわりか、各国のファーストフード系出店は、日本
より密度濃くある。マクドナルドの話しのところでも書いたが、日本で見るよう
なアメリカ大資本の店が少なく、色々な国の食べ物が食べられるところが数多く
の店が共存している理由にもなっているかも知れないと思う。
日本だと、アメリカン(ハンバーガー、ドーナツ、サンドイッチ)、日本物(牛丼、
蕎麦、うどん、ラーメン)で99%ではなかろうか?
ゴミに関しては、今写真を見返しても、本当にどこにも写っていない。汚れと
言えば、ハトとカモメの落とし物くらいか。カモメが多いせいか、ゴミが少ない
せいか、カラスもあまり見かけない(カモメが天敵だそうで)。
[13:10]
閑話休題。
食事を終えてファーム湾沿いに、ミセス・マックォリーズ岬に向かって歩く。
西の対岸に、オペラハウス、そしてその向こうにハーバーブリッジが見える。
「おぉ、絵はがきの構図ではないか!」
白いセラミックの屋根が眩しい。なるほど、シドニー湾に浮かぶ帆船の様な
優雅な姿だ。記念写真。
その左手には、近代的な超高層ビル群がつづく。新宿のビル群よりは個々の
ビルの意匠が大胆で有るように思う。
すっかり観光客気分を満たし、オペラハウスを目指し、湾に沿って戻る。
白人のアベックに写真を頼まれる。
"Manual forcus OK?"
"OK,OK... 1, 2, 3"
OKもなにも、そのカメラはキャノンのAE-1であった。
私が高校生の頃に大ヒットしたカメラ。懐かしかったなあ…。
しばらく行くとまた、英語で声をかけられる。東洋人の女性二人組。
「あ、日本人ですか? よかった〜」
はいはい、写真ね。パチリ。
こんどはオートボーイだ。なんか、キャノンが多い。
[13:50]
オペラハウスに近づくと、にぎやかなブラスの響きがする。
「マーチングバンド・フェスティバル」という催しらしい。オペラハウスの前
の広場で、世界各国のマーチングバンドが入れ替わり立ち替わり、華やかな演技
を披露。しばし見入る。(どうせ予定はない(^^))
観客はオペラハウスへのアプローチの広い階段いっぱいに、結構な人ひとひと。
[14:40]
しばらく、オペラハウスの周囲を見て回った後サーキュラー・キーに戻ろうと
すると、港の方からブラスの響き、ユーミンの曲。
「お〜、ユーミンの曲はブラスの世界では世界的に演奏されているのか〜」と思
わず感動…。
と、行進してくるそのバンドを見ると
"KAMAKURA WOMEN'S COLLEGE ALL GIRLS HIGH SCHOOL BAND"
「なに〜、鎌倉女子大学付属高校?」
おもわず、手を振って記念写真を撮ってしまった(笑)
港の周りには今日も辻音楽師がいるのだが、とにかく今日は後から後からマー
チングバンドが通っていくので、商売にならない。
アコーディオンのおばさん、胡弓のお兄さんが店を畳んでいる(^^;
しばらく港に歩いていくと、リコーダーを吹く赤ん坊連れの女性。ほとんど、
子連れ狼状態である。ヘンデルやその辺の年代のバロックのソナタを吹いている。
「私もリコーダーを持ってくれば良かった…」と思う。林さんとギースベルト
の二重奏でもやれば、晩飯代くらいすぐに稼げるんじゃないかしらと思う(笑)
[15:00]
今日の観光前半戦に一区切りして、今朝からの最大の課題である、"水を手に
入れる"という目的のため、林さんに教えてもらったAMPビルのショッピン
グセンターに向かう。
シドニーは冬。快晴。想像もしなかった乾いた空気のために、のどはヒリヒリ
顔の皮までぽろぽろと細かく剥げてくるほど。水を下さい…。悲惨な気分はもう、
ほとんど林光の世界なのだ。
と、こ、ろ、が…
開いてないよ〜(^^;;
扉にはしっかり"5 Days"と書いて有る。(土日休業と言うこと)
オーストラリアのサービス業には、サービス精神が薄いんじゃない?と思わざ
るを得ない。しかし、元はと言えば、そんないい加減な情報で大事な水を買うと
いう仕事を振った林さんが悪いのである(^^;
おかげで、水を探す旅に出る羽目になった…
[15:20]
水を得るには少しでも人が集まり開けたところに行かねば…。と私はホテルを
挟んで反対側にあるロックス地区へと向かう。
ロックス地区はオーストラリアへ最初の移民団がたどり着いたという歴史の古
い町並み。ただし、その歴史のなかで一度は取り壊されて復元された建物も多い
という。今は観光地として賑わう一角だ。
そんなわけで、ここにも港に近い広場には大道芸やら辻音楽師やらが多い。
ギター二本でじゃかじゃかとロックする若者もいる。
口笛吹きの爺さんなんか、かなりの素人芸ではある(笑)
ロックスは港の西側にあり、ふと港を振り返れば傾きかけた日に映えてオペラ
ハウスの白い帆が美しい。
あてもなく(^^;)ジョージst.を行くと、通りを一つつぶしてマーケットが開い
ている。装身具から骨董品、わけの分からないオブジェ、絵、化石。
所狭しと並べられた極彩色の品々のことごとくが異国であり、また、懐かしい
縁日のようでもある。近代的な港の風景から一歩横道にそれて、切り取られたか
のような空間だ。
進んでいくと、マーケットの密度の高い空気が切れたかと思うまもなく新たな
喧噪が。どうやら有名なショーパブらしい。まだ昼間だというのにビールを片手
にした人が道にまであふれて、店の奥からは景気のいいオーストラリアン・フォー
クソングらしき歌声がこぼれている。
祭りの空間のなかに一人でいるのは不思議なものだ。
…さて、私は水を探していたのだ(笑)
この先にはもう橋(ハーバーブリッジ)、というわけで、引き返し、今度は一つ
奥の通りを歩いてみる。
そこは石畳の町に小粋なオープンエアの店が建ち並ぶ一角だった。
まるでスペインのようである。…というより、渋谷のスペイン坂(^^;を広々と
明るくして歴史を足したみたいな。
その一角を通り抜けると、アーガイルst.と交わり、ガイドブックに「こんな
町の景観を壊す物をたてて…」と書かれている時計台のあるショッピングセンター
に行き当たる。
この交差点を西にちょっと進むと開拓当初に作られた切り通し
「アーガイル・カット」というのがある。
しばらく周辺をうろうろしたのち結局件の時計台のあるショッピングセンター
に入ってみると、中の飲食店のひとつに飲み物のテイクアウトが出来る店がある。
「お〜、オアシスぢゃぁ〜(^^;;」
なんだかイタリア系のおじさんに怪しい英語で話しかけ、めでたく、1.5Lと
500mLの二本のペットボトルをゲットし、足取り軽く、荷物は重くホテルへと
戻る。(500mLは今後の水筒用として)
途中デューティーフリーの店や、クージーの店を見て回りながら、長い観光の
一日前半戦が終わった。
----*----
夕刻、今日もしごかれたOMPの団員がパラパラと帰ってくる。
今日の練習はしかし、先日までと違ってようやく上り調子になってきて先生の
機嫌も良く、やっと団員の顔にも希望が見える(ような気がした(^^))。
ベッドカバーの上に倒れていた私も起きあがり、本日の戦利品を見せ、その
苦労を語る。たかが水だけど。
「サーキュラー・キー駅(とても近い)の高架下の酒屋さんに売っているじゃん」
とひとこと言われ、私は倒れた(笑)
さて、今日のディナーはどうしよう?
昨日の夕食は、ホテルのレセプショニストが「観光客にも人気」と言っていた
ステーキハウスのわりには、「あぁ、オーストラリアって大陸なんだなぁ」と、
しみじみするような味だったので(ドウイウイミカ(笑)) こんどは違う系統のも
のが食べたいと考える。
「やっぱりオーストラリアといえば、オージー・ビーフ(昨日食べた)か、
カンガルーか、シーフードだよね?
林さんがガイドブックで目を付けていた店があるというので、電話で席を取る。
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ウォーターフロント・レストラン
WATERFRONT RESTAURANT
27 Circular Quay West., The Rocks, NSW, Australia
Tel:(02) 247-3666, Int'l:+61-2-247-3666
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予約OK。徒歩7,8分の所なのですぐに出かける。何しろこのあと8時から
オペラハウスでコンサートを聞くので結構あわただしい。
[18:40]
ウォーターフロント・レストランというと既に名前からして観光用という感じ
ではあるけれど、昔の港の倉庫を改装して、よく冬場に枯れ木に飾られるような
電飾が施され、屋外入り口付近のテラス席は、船の帆のイメージの天幕が張られ
ている。
店員に予約してある旨を告げると、屋内か、テラス席かをたずねられ、
迷わずテラス席に。(冬だけれどぜんぜん寒くない)
シドニー湾を挟んで向こうにはオペラハウスがライトアップされて浮かんでい
る。すぐそばの船着き場には、これも華々しく電飾を施された遊覧船が停泊して
いる。ちょっとディズニーランドのノリに近いかな?
席がちょっと奥まっているので、斜め横の空いている席に移れないか尋ねると、
そこはもう隣の店だそうだ(^^; ちなみに、込み入った英語は、林さんの分担。
(私の英語力に関する逸話はそのうち出てきます(笑))
店員がオーダーを取りに来る。この店にも日本人客が多いらしく、一部日本語
のメニューがあり、そればかりか「日本人新婚旅行客向けセットメニュー」なる
ものまである。汗汗(笑) でも、もしかしたらお得かも?と林さんの超高速な
論理思考で、決めてしまう。
ワインには英語のリストしかなかったが「お勧めの白ワインは?」ときくと4
本ほどあげてくれたので、選ぶ。(価格は重要な判断材料だ(^^))
まもなくワインが運ばれる。ちゃんとしたワインクーラーもあってちゃんとし
たサービス。ちゃんとした店にはテイスティングという儀式があって、私は日本
でだって、ちょっと緊張する。まあ、ちょっと味見してニッコリすればいいだけ
の話しだが。う〜む、儀式儀式…。
ちなみに、テイスティングの手順は
1.グラスを傾け、色を確認する。
2.ワインを回転させて香りをたて、香りの確認をする。
3.口に含んで味を確認する。
4.おもむろに、鷹揚に頷く
…てなところ。
さて、料理の中身だが、
まず、海の幸のオードブルが4,5品出てくる。
そしておおきなロブスターのお造り。これは、ちゃんと醤油(キッコーマン)と
わさびが付いていて、日本人向けであることを主張している。
オードブルはまあ、なんと言うことのない味ではあるがやっぱり、巨大なロブ
スターは嬉しくなってしまう(^^)
ワインも安いのを頼んだけれど、さらりとした飲み口で食事に合う。
前日のステーキハウスよりなかなか良い感じなのである(^^)
そうこうしていると、カメラを持った女性がやってきて記念撮影をしていく。
(この写真は食事中にできあがって、$8であった)
お造りを食べ終わると、これが一旦下げられて、ステーキが出てきた。
「でた!」と叫んでしまう、なりは小さくてもなんだかゴロっとした存在感の
あるオージービーフのステーキ。しかも、焦げている。オーストラリアでは、
ステーキは焦げるまで焼く物なんだろうか…? しかも付け合わせにフライドポ
テトがあって、これが結構てんこ盛りなのである。見ているとしみじみ、ここが
フレンチレストランなどでなく、オーストラリアのレストランであることを感じ
てしまう。
…とはいえ、食べる。だんだん、大きいことは良いことだ…って気持ちになっ
てくる。
のんびりのんびり食事は進み、はたと気が付くと、オペラハウスの演奏会の
開演時間などとうに過ぎている…。いいのか、これで…。
とにかくワシワシと食べ続けていると、先ほどさげられたロブスターが鬼殻焼
きとなって再登場だ。美味しい。べつに時間なんかいいよね〜という空気が流れ
る。しばしロブスターの殻との戦い。
ん〜満腹満腹。
しかし、まだデザートがある(笑) すでに開演時間から50分が過ぎているのだ
が…
待望のデザートは、…チョコレートケーキと、コーヒー。しかし、これがまた
大きい。デーザートなんてものではなく、完全にケーキセットとしてお金の取れ
るレベルのものが登場。食べるしかない(^^)
…結局この晩の食事にはたっぷり二時間以上かかってしまい、店を出たのは
21時ちょっと前。
イブニング・コンサート
[21:15]
もうこのまま帰って寝てしまうのも幸せだよな〜、とか思いながらもとりあえ
ずオペラハウスに到着。ドアの前の係りのおばさんに、怪訝な目で見られながら
チケットを見せ、曲間で席に着く。回りはOMPのメンバーばかりでちょい、恥
ずかしい(笑)
こっちは「まだやってる。あいててよかった〜」の心境である。
----*----
もう、前半のモーゼスホーガンは当然のように終わっている。
演奏は、ドイツのカンマークワイヤー・シュトゥットガルト
美しい。まるで時の流れまでが、その音楽の緩やかな響きに溶けてしまったよ
うに、ゆるゆると過ぎていく。
そして、まるで4人で歌っているようにさえ聞こえるほどに引き締まっている
のに柔らかで暖かなアンサンブル。
オルガンのようにびりびりと力強く響く音。
たった二曲しか聴くことができなかったけれど、今までの演奏会通いの経験の
なかで、求めても滅多に出会うことの無かった響きが、フィクションなどではな
くそこにあることに感動してしまった。
[22:10]
ホテルに向かって歩く。
今日はとてもとても歩き回った一日だったけれど、良い一日だった。
明日は待望の、OMPの演奏「宇宙について」もある。
ホテルに着くと、倒れるように寝てしまったのだった。
(ワインを一本空けたし(^^))
唐澤 (8月12日(月)に、つづく)
8/12(月) 快晴
■シドニー湾周辺記念撮影早回り 〜 SOHガイドツアー
(〜 田中信昭ワークショップ 〜 OMPコンサート『宇宙について』)
[ 8:00]
例によって部屋の目覚ましが壊れているので、フロントからのモーニングコー
ルで目を覚ます。目覚まし時計が壊れているのはまあ、仕方ないだろうが、しか
し、「壊れているからフロントに電話してね」という張り紙ももう長いこと張っ
て有るようで、オーストラリアには壊れた物を直すという発想が無いように見受
ける。
[ 8:30]
部屋でぼ〜っとしていると、ボンとドアが開く。
なんだなんだと見ればお掃除おばさん。
このホテルは、[DON'T DISTABE] の札がないとじゃんじゃん掃除が来るらしい。
日本のホテルならでも、ノックぐらいするような気がするのだが…(^^;;
一旦お帰りいただいて支度を始める
[ 9:15]
今日はOMPは、17:00からコンサート(宇宙について)があり、11時から
練習開始とのことで、朝のうちに林さんと小市内観光をしに出る。(記念写真
大会とも言う)
朝食はサーキュラー・キーの地下鉄駅前広場の出店のサンドイッチ屋さんで、
クロワッサンサンド二つとミルク($9)。これを持って植物園、ファーム湾半周、
SOHと記念写真スポット早回り。
植物園まで徒歩5分ほど。
熱帯植物館前 〜 このガラスのピラミッド型の温室の背景にシドニータワーが
写り込むアングルがなかなか「シドニー」でよい。“パチリ”
園内のファーム湾を望むベンチで朝食のクロワッサンサンドを開く。
両手の手のひらより大きなクロワッサンにこぼれんばかりに挟み込まれたサン
ドイッチが、とても瑞々しくて美味しくて、ついでにこれ一つで満腹になるほど
量がある(笑) ついでになにが感動かと言って、初めて柔らかいパンのサンドイ
ッチを食べた(嬉しいよ〜(^^;)
パンくずを投げてカモメと遊ぶ。
食事が終わると、ファーム湾沿いに北(マックォリーズ岬)に向かって歩く。
巨木の前で“パチリ”
沢山の細い木が絡み合って一本の木になったような不思議な幹を持つ木。日本
では見たことが無いなあ。
植物園のゲートを出てちょっと歩くと、「あなたにも絵はがきと同じ写真が撮
れるポイント」(笑)が見えてくる。
ファーム湾の向こうに、シドニーオペラハウス、そしてその向こうにハーバー
ブリッジ。シドニーと言えばこの写真を撮らないと(^^) “パチリ”
シドニーで、写真を撮りたい人のために解説いたしますが、早朝から
朝10時くらいまでが順光。午後は、逆光になりますが、海面が光ってこれもまた
美しい。
この位置から左(北西)を向くとシドニーの中心地の高層ビル群とシドニータワー
が湾、植物園を全景にして望める。これも絵はがきやガイドブックに必ず見られ
るアングルだな。“パチリ”
[10:00]
ファーム湾を逆回りして、オペラハウスに向かう。徒歩約10分。
植物園を周遊するガイドツアーの乗り物が通りかかる。“パチリ”
お猿の機関車を大きくしたようなと言うか、機関車の形をした電気自動車に
客車が3台引かれて、オペラハウスの側から発着している。
オペラハウスの前、旧ベネロング岬の突端の岸壁の前で“パチリ”。背景には
ロックスの古い倉庫街も見える。
オベラハウスのデッキからハーバーブリッジを背景に“パチリ”
オペラハウスまで来るとまたついつい土産物の売店をのぞいてしまう。
(何度でも来れると思うと見るだけでなかなか買わない(^^;)
[10:50]
林さんは今夜のコンサートの練習に。私は昼食を買い込み、いったんホテル
に帰る。
[12:00]
■シドニーオペラハウス・ガイドツアー
オペラハウスの土産物売店の先に、ガイドツアーの受付がある。
ガイドツアーは、建物全体の紹介とホールを回るツアー(60分)と、舞台裏を
見られるバックステージツアー(90分)があり、前者は毎日。後者は毎日曜日の
開催。ともに午前9時から午後4時まで。
…というのを知ったのは実は帰国してから。
本当はバックステージツアーに参加したかったのだが、この日は月曜で表の
ガイドツアーのみ。“うるうる”状態である。これから行ってみようと思う方
はそこのところ、ご注意を。
カウンターで $7.払うと、各国語のパンフレットと、小さなプラスチックの
クリップをくれる。このクリップがガイドツアーのチケット代わりで、胸ポケッ
トにくっつけておく。
[12:45]
ガイドツアーの始まり(^^)
サングラスを片手に、ブロンドの長身のお姉さん(ややおばさん?)登場。
大変元気があってちょい役者っぽい。なんだかディズニーランドのキャスト
みたいな感じなのである。
まず、お姉さんに連れられて外観を見上げながら、構造や規模についての
説明。「なにかご質問は?」というと「屋根の掃除はどうやってするの?」
など…。でも、その答えを私に聞くのは酷という物である。ネイティブ同士の
英会話を聞き取るのは、気が遠くなるほど大変だった(^^;;
(とりあえず、人間がぶら下がってせっせと拭いているらしい)
近くで見るとこの白い屋根は、矢羽型のパネルの組み合わせで出来ており、
その表面が無数のタイルで埋め尽くされていることがわかる。
真昼であって、オペラハウスのデッキに立つと水面からの照り返しも相当に強
く眩しい。青い目のお姉さんも、日当たりの強い場所ではさっとサングラスをか
ける。(これがまた様になってかっこいい(^^))
白人観光客の何人かは、Tシャツに短パンという出で立ち。
お姉さんが「ま〜今は冬ですよ!」と声をかけると、
「だって、夏みたいじゃないの!」と答える白人観光客。
本当に、なんというか、全然冬じゃない天気なのだ。シドニーの8月という
と、日本なら2月中旬くらいのはずなのだが、もう全然5月くらいの感じの毎日
なのだった。もっとも、現地でもこれは異常気象だと後で聞いたのだが。
ドラマシアター 〜 続いてコンサートホール側(西の建物)の脇の入り口に入る
とそこがドラマシアター(544席)だ。
舞台に集中できるよう、真っ黒なインテリア。舞台の上には今やっている出し
物の物らしきオブジェが中にぶら下がって浮かんでいる。
ここで一同客席に座ってお姉さんから、オペラハウス建設の歴史について聞く。
いくつものホールが複合したこんな立派なホールだが、一度は建設費の問題か
ら、多目的ホールを設置するという計画になりそうだったことがあるなど、計画
時から完成までの、建設に伴う様々な苦労話が熱弁された。
(もちろん英語、とても辛い(笑))
コンサートホール 〜 いったんもと来た通路をもどり、外に出てから正面玄
関をくぐり、コンサートホール(2,690席)の客席の外周をぐるりと回り、入り口
の反対側にある、ガラス張りのレセプションコーナーに抜ける。
この建築は、白い帆の形の屋根と内装(ホール本体)が物理的に浮いている構造
になっていて、帆の部分の根元はぐるり360度すべてガラス張り。なので、ホー
ルの外周を巡る通路からはどこからでもシドニー湾が一望できる。
このガラス壁は、フランス製の分厚い張り合わせガラスで、舟の汽笛や、上空
を飛ぶ飛行機などのトラフィック・ノイズを遮断できるようになっているとのこ
と。
中から見るインテリアは、近代的な力学美とでも言える力強い印象。コンク
リートの外殻と、ガラス壁を支える鉄のフレームの緊張感がいい。それに、建物
の中でありながら、港の風景ととけあって開放的な気分もある。
屋根の白い帆は、内部から見ると、貝殻の内側にいるような、ちょっと生物的
な気分を感じる。あの大きな屋根を支えるにはあまりにも細く感じる根元の部分
も近くで見ると、貝殻の蝶番の部分の精巧さのようなものを感じさせる。
貝殻や卵が壊れにくいように、この三次元的な曲面の複合が支える重量の圧力
や張力がコンクリートの肌から感じられる。
しばらく内装とコンサートホールについての説明を聞いた後、ホール内にはい
る。すると、ステージではシドニー交響楽団のメンバーがリハーサル中であった。
しばし、じっ…となって聞く。
内装は壁面がオーストラリア産の白樺ベニア材、座席と床が茶色の「ブラッシュ
ボックス」という木だそうで、暖かく豊かな響きがしている。
この二種の木が会場内の至る所に使われて、インテリアのイメージを統一感の
ある物にしている。
なんといっても、トイレのドア一枚、個室のレイアウトに至るまで、同じ素材
と、張力に満ちた曲線でデザインされているんだから。
オペラシアター 〜 リハーサル中のコンサートホールをそっと後にして、東側
のオペラシアター(1,547席)に入る。
中からはトンテカトンテカと大工仕事の音。次の公演のための大道具作りの真
っ最中だ。
インテリアは、同じように白樺ベニアだそうだが、視覚効果のためすべて黒く
塗られている。しばし舞台での作業を眺める…しかし、あの奥が見たいなぁ〜。
どのホールもなんだか生き生きとしている。
オペラハウス全体で、毎年なんと3,000以上の催しが有るというのが、驚異的。
一年は365日しかないって言うのに、どうやって詰め込んでいるのか、活気があ
るのも当然ということか。朝から夜、深夜までどんな時間に行っても人であふれ
ている。
ちなみに、オペラハウスは4つのホールと、4つのレストラン、6つのバー、
図書館などがあり、その他にも展示コーナーや売店などが集まっている。
日本のどこかにも、こんな活気のあるホールが有れば、そこに行くだけで楽し
い気分になれるんだろうな。そう思った。
これで、SOHガイドツアーは終了。お姉さんにありがとうを言って小さく
手を振って別れる。
一時間ちょっとのあいだ、ほとんどず〜っと、延々しゃべってくれたのはも
う、熱弁賞ものなのだ。でも、たぶん話の一割くらい、ほんのアウトラインし
か聞き取れなかったなぁ。ちょっと残念。
脳味噌が筋肉痛を起こしそうなのだった(苦笑)
[14:00]
さて、次の予定は、田中信昭ワークショップ。なのだが、ガイドツアーがこん
なにかかるとは思っても見なかったので、もう時間がない、猛ダッシュなのだ。
(田中信昭ワークショップ編に続く)
唐澤清彦 NKE44364@pcvan.or.jp