５月１３日（日）

長谷川安代

　この旅の山場！ゲントからパリへ夜を徹してのバス移動。リクライニングがあまり出来ず首が痛い。みんな眠れたのかしら？約５時間半かけてパリ＝リヨン駅に到着。体が固まっているため外に出る。朝のひんやりとした空気がとてもきもちいい。ボンジユ−ルパリ！

　ここで一足先に帰る笠井君、菅野（しの）君、荻野君とお別れ。お疲れさまでした。無事に帰ってくださいね。でも、彼らこれから夜の飛行機の時間まで男３人パリ観光！なんだか色気ないわね。きっと珍道中でしょう。

　６時５４分、ＴＧＶでアビニョンへ出発。朝ご飯として配られたおにぎり弁当をみんな一斉に食べる。体が疲れているのでお米のお弁当がとてもうれしい。でもこの車両お弁当のにおいできっと臭いんだろうなあ。ＴＧＶでフランスののどかな風景を見ながら、おにぎりを食べるなんてもうないでしょうね。その後はほとんどの人がおやすみなさいでした。

　１０時２９分アビニョン到着。バスでホテルへ向かう。この後すぐヴェゾンへむかうためホテル滞在時間は約２０分！大急ぎで洗面、着替え、衣装など準備して出発。シャワ−を浴びた人もいて、そのスピ−ドにびっくり。だんだん田舎になっていく車窓をたのしみながら４０分ほどでヴェゾンに到着。ヴエゾン・ラ・ロメ−ヌは、ロ−マの村と言う意味とのこと。石畳でとても趣のある素敵なところ。カロスの時に先生が宿泊したホテルのレストランで豪華なランチ。ここはホテルといっても、規模は小さく、普通のやや広めの家と言う感じ。素敵な中庭でお食事。サラダ、ス−プ、鴨肉、パン、デザ−ト、そしてシャト−・ヌフ・ドゥ・パフ？と言う、とても渋くて美味しい赤ワインをいただく。この建物自体が坂の途中にあるため、テ−ブルが傾いているところもあり、猫がいたりお花が風にのってお皿に入ったりとなんとものどかでゆったりとした時間をすごした。ＧＷ中の慌しかった日々をやっと取り戻している感じ。この庭でもっとのんびりしたいなあと思った人も多いはず。でも今日は今までと違って単独の演奏会があり、開演も日曜日とあって６時と早い。気持ちをひきしめて演奏会場へむかう。

　今日の会場も立派なロマネスク様式のカテドラル教会。今回この演奏会を手配して下さったコ−ネル−プさんのお嬢さんマリ−さんが出迎えて下さった。早速練習開始。教会なので、言葉とリズムをたてて、でも力まないよう気をつける。残念ながら、ここにはピアノが無いため、唱歌の四季はプログラムから外れることになった。この曲はベルギ−放送合唱団の方と一緒に歌ってなんだかとてもうまくなってしまったような錯覚をしたまま、いい思い出のまま日本に持ち帰りとなった。ヴェゾンで初めて歌うバッハ、ブスト、プ−ランク、フォ−レの曲からなる最初のステ−ジ。このステ−ジで素敵な演奏ができたらいいなあと思うが、なんだか響いているのに酔って音量がでかい！だけ。日本での練習で、先生が現地では、きっとあまり時間がとれないだろうと丁寧にやってくださったのに。本番はがんばろう！メッタスッタ、江戸小唄等は、軽くあわせあっという間にリハ−サル終了。教会の外へ出ると、何人かお客様が待っていた。と、その中に日本人の女性の方がいらっしゃった。こんな遠くの異国の地に！この方は山田さんとおっしゃり、いろいろとあって現在は、ご主人（もちろんフランス人）の故郷のヴェゾンに住んでいるとのこと。日本語が懐かしいとお話していました。フランスに住んで日本人の素晴らしい所を再認識した。こういう演奏旅行はとても意義あることでしょうから、みなさんずっと続けて下さいね。今日はとても楽しみにしていました。と、温かい言葉をかけていただき元気が湧いてきました。

　６時いよいよ開演。お客さんはやや少なめ。後から聞いた話では、今日合唱祭があって関係者がみんなそちらにいってしまったとのことでした。山田さんが前のほうにすわっているのがみえました。

　１ステ−ジやはりちょっと大きめでしたが、ゆったりと歌えました。みんな曲が素晴らしいのでそれに助けられたかも。南さんの２つの合唱曲は、またお客さんがとても興味ぶかそうに聞いていました。この曲は３回の演奏会みんなおおうけでした。メッタスッタは大分慣れたので、余裕が出てきた演奏でした。これから栗友会みんなで演奏することもあるかもしれませんから、長いお付き合いになりそうです。海外で演奏したことは、とても貴重な経験ですのでこれから響の団員が中心になれるようさらに徳を積みましょう！信夫さんを中心に！

　江戸もの、島唄、獅子舞、私たちの日本の伝統や文化、土地柄が詰まった曲は、自然に体が反応してきます。男声は、いつもながらとても威勢良く楽しそう。マルちゃんはもう名人の域に達していますね。お客さんは静かな反応でしたが、会場の空気が変わった気がします。ご年配の方がにこにこしながら拍手をしていたのがうれしかったです。そしてアンコ−ルで、阿波踊り、赤とんぼ。赤とんぼで山田さんが涙ぐんでいました。私たちもぐっとこらえて思いを込めて歌いました。感激のうちに終演。外はまだ明るくみんなでお客様をお見送りしました。素晴らしかったとみなさん声をかけて下さって（多分）また感激で胸がいっばいになりました。とても温かいヴェゾンの皆さん、ありがとうございました。またいつかここで、歌えますように。

　打ち上げは近くの公民館？のような所で夕食を兼ねたパ−テイ−。山田さんもいらしていろいろと今日の演奏会の感想や、山田さんのこれまでの人生についての話でもりあがっていました。お腹が落ち着くとプレゼントを渡したり、和やかに会はすすみまた泣かせる「赤とんぼ」をお礼に歌いました。この旅最後の歌となりました。今回この演奏会を用意して下さった噂のおじいちゃま、マルセル・コ−ネル−プさん、マリ−さんそして、ヴェゾンのみなさんに感謝し、私たちのこの旅で一番なが−い一日が終わりました。