OMP第13回定期演奏会報告
日時・場所:1995年6月4日(日) 15:30開演 昭和女子大学人見記念講堂
1st:ヨハンネス・オケゲム/レクイエムより入祭唱
ジョスカン・デ・プレ/ヨハン・オケゲムへの悼歌
指揮:宮澤 彰
2st:バルトーク・ベラ/4つのハンガリー民謡
1. 囚人
2. 逃亡者
3. 年ごろの娘
4. 歌
指揮:栗山文昭
3st:林 光/混声合唱のための 原爆小景 (詩/原 民喜)
1. 水ヲ下サイ
2. 日ノ暮レチカク
3. 夜
指揮:栗山文昭
4st:新実 徳英/魂の舟−葬送の音楽−(委嘱初演)
I (生命の予感)
II (時間の雫)
III (魂の炎)
IV (悼歌−『中世風』より−) (詩/谷川 雁)
V (時の彼方へ)
指揮:栗山文昭
pf:浅井道子
- 林(Sop.) -
1st(Firstでなく第一ステージ)は、団内指揮者による古典。今回の真っ暗な
プログラム(笑)の中にあって比較的明るい曲(内容はレクイエムだけどね)。
オケゲムの曲は中世の作風を残した不思議な和音進行の響きなのに対し、10数年後
と思われるデプレは既に完全なルネサンス作風になっており、違いが面白いとりあわせ
です。ただデプレの方は、五声部の真中のパート(Tenor)だけがラテン語で"Requiem…"
と歌っていて、他のパートは歌詞がフランス語だったので苦労しました。
2stは、没後50年のバルトーク。民謡をもとにした合唱曲は、細かい装飾音符と
共に旋律を必ずしもテンポ通りでなく即興性をもって歌うことと指定されています
(Parlandoと楽譜に記される)。こぶしのようなものですが、慣れないマジャール語で
やろうとするとうまく合わないのでした。練習不足を気合いでカバーするという
いつもの悪習で歌ってしまいました(^^;;
拍子がコロコロ変わるので、指揮と合わなくなると大変危険で、一箇所事故が起きて
しまいました。お客さんにはわかっちゃったかな?
3stは、終戦50周年ということで取りあげた「原爆小景」。指揮者の栗山先生は
東混の初演時にこれを歌っていて、語りもやっています。1曲目と2,3曲目とは作曲
されたのが10数年離れていて、感じもずいぶん異なります。「水ヲ下サイ」は演奏
されることも多く有名な曲ですが、あとの二曲は楽譜づらが非常に難しそう(例えば
16声部に分かれているとか、小節線がないとか、クラスターによるヴォカリーズや
シュプレヒコール、三連符と五連符の微妙なズレが多用される、等)なのでアマチュア
で演奏する団体は少ないようです。
ところがうちの合唱団は、こういう曲の方が得意なのです(^^;)。「水ヲ…」は
音にはしやすいけれど、歌が歌えなくては聴かせられない曲なので、よっぽど難しい
のです。
栗山先生はもう倒れるんじゃないかと思うほど既にキレかかっていました。
4stは、新実徳英氏による委嘱作品。1曲を除き殆どが言葉のないヴォカリーズで
歌われ、とうとう暗譜できませんでした(;_;)。
「葬送の音楽」ということで、団員はお葬式をイメージした黒・白・グレーの衣装
(私服)に身を包み、パート別でなくばらばらに座って、音楽のうねりと共に感情を
高まらせながら、時には立ち上がり、時には動き、赤やオレンジの照明を駆使して
合唱音楽と舞台芸術との融合を意図したのですが、さて出来上がりはどうだったか。
4曲目の「中世風」は、詩人の谷川雁さんへの悼歌で、今回だけの演奏です。
数億年の昔に初めて生命が誕生した時や、死後の世界を思わせるような音楽と、
浅井道子さんのピアノも素晴らしく、新実先生の世界が広がっていたと思います。
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今回の定期演奏会は、個人的には非常に仕事が忙しく練習不足で、また団としても
「能力を超えた曲を選んでしまった」(栗山先生曰く)ので完成度は低かったかもしれ
ませんが、それでも「やってよかった」と思えるものでした。いつも演奏会が終わる
度に「この曲をもうやらないなんて寂しい」と思うのですが、今回は特にそれを強く
感じました。まぁ「原爆小景」はレパートリーにしようとか先生はのたまっていまし
たが(^^; ホントカ?
今まではコンクールでさらに深く掘り下げて演奏する機会を与えられるのですが、
もうありませんし。
ちなみにOMPのキャッチフレーズは、「過去に学び,現在を生き,未来を創る」
演奏会の内容や普段の活動でそれを実現していきたいと思っています。
演奏会を収録したビデオを4500円で発売します。興味をお持ちの方は私にメールを下さい。
林 瑞絵